保存料と合成保存料の違いとは?身体に悪い?表示の見方【2027年】
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まいど、食品バイヤーのしゅんです。
「保存料」と「合成保存料」。
パッケージで見かけるたびに、「合成のほうが身体に悪いんかな」「天然の保存料なら安心なん?」とモヤっとしませんか。
年末が近づくと、おせちや練り物、数の子みたいな日持ちする食べ物を買う機会も増えます。家族の口に入るものやから、なおさら気になるところです。
この記事では、2つの言葉の違いを、国の資料をもとにほどいていきます。「保存料不使用」という表示の読み方や、実際のおせちに入っている保存料の中身まで見ていきますね。
ぼくは仕事柄、毎日のように商品の裏の表示を読んでいます。表示を作る側の事情も少し知っているので、そのへんも混ぜてお話しします。
目次
保存料と合成保存料は何が違う?
今の表示のルールでは、「保存料」と「合成保存料」に違いはありません。
もっと言うと、「合成保存料」という書き方そのものが、今はもう使えなくなっています。
ただ、昔は分けて書かれていた時代がありました。その名残で、今でも「合成保存料」という言葉だけが世の中に残っているわけです。
昔の「合成」は化学的に作った保存料のこと
食品添加物は、ざっくり言うと「指定添加物」と「既存添加物」に分かれています。
指定添加物は、国が安全性を評価して1品ずつ使ってよいと決めたもの。保存料では、ソルビン酸や安息香酸などが代表です。
既存添加物は、昔から長く使われてきた実績があるもの。保存料なら、魚の白子からとる「しらこたん白」や「ポリリジン」がこちらです。

1995年の法律の改正より前は、国が指定するのは化学的に合成したものだけでした。なので「合成の保存料=指定された保存料」というイメージが、そのまま言葉になって広まったんです。
ところが1995年からは、天然のものも指定の対象になりました。この時点で「指定=合成」という分け方は崩れています。
広島県の食品工業技術センターの資料では、指定添加物の保存料は21品目、既存添加物の天然系の保存料は5品目(どちらも2016年10月時点)とされています。
2022年4月から「合成保存料」とは書けない
表示のルールを決めている食品表示基準から、「合成」と「人工」の言葉が消えたのは2020年7月です。
切り替えの猶予が2022年3月末まであったので、2022年4月からは「合成保存料」「人工甘味料」とは書けなくなりました。

消した理由は、「合成は危ない、天然なら安全」という誤解が広がっていたからです。
消費者庁のガイドラインにも、食品衛生法では添加物に化学的合成品も天然物も含まれ、どちらも使用が認められている、と書かれています。表示でも合成と天然に差をつけず、「天然」と書くことも認めていません。
ちなみにこの話、最初はぼくも「合成の文字だけ消して、中身はこっそり同じなんちゃうの」と疑ってました。
でも調べてみると逆で、もともと合成も天然も同じ物差しで評価されていたのに、言葉だけが「合成=悪者」の印象を作っていた、という話なんですよね。中身を変えたんやなくて、誤解のもとになる言葉のほうを片づけた形です。
保存料は身体に悪い?天然なら安心?
決められた量を守って使われている保存料が、すぐに身体に悪さをする心配は小さい、というのが国の考え方です。
添加物は、食品安全委員会が安全性を評価して、人の健康を損なうおそれがない場合に限って使い方の基準を決めて認める仕組みになっています。
その目安になるのが「ADI(許容一日摂取量)」。毎日一生食べ続けても、健康に悪い影響が出ないと考えられる量のことです。厚生労働省は、スーパーやコンビニの食品に入っている添加物の量を調べて、この範囲に収まっているかも確かめています。
ソルビン酸のような指定添加物の保存料は、使ってよい食品と量が全部決まっています。
一方で、しらこたん白のような天然系の保存料には、量の基準がありません。長く食べられてきた実績があるから、という扱いです。
ここ、ちょっと面白いところで。
「天然のほうが安心」と思われがちですけど、量のしばりがきっちりあるのは、むしろ合成と呼ばれていたほうなんです。天然やから安全、合成やから危険、とは言い切れません。
とはいえ、「できるだけ添加物は減らしたい」という気持ちも、ぼくはぜんぜん否定しません。
小さい子どもがいる家や、同じ加工食品を毎日のように食べる人なら、気にして選ぶのも立派な判断です。大事なのは、「合成」「天然」という言葉の印象ではなく、何が入っているかを表示で見ることやと思います。
添加物全体の考え方は、添加物って危険?安全?身体への影響は?でも書いています。
2022年の春、売り場のシールが一斉に消えた話
2022年の春先、取引先の練り物メーカーさんから「パッケージを刷り直します」と連絡がありました。
表に大きく入っていた「合成保存料不使用」の文字を消すためです。版を作り直すのにもお金がかかるので、担当の方は電話口でずっとぼやいてました。
「中身は1グラムも変えてへんのに、売りの文句だけなくなるんですわ」
その気持ちもわかります。ただ、買う側から見ると、あの文句で「ほかの商品は危ない」と思い込んでいた人も多かったはずです。
ちなみに、その練り物は刷り直したあとも売れ行きは変わらなかったそうです。結局、みんな味で買うてたんやなあと、二人で笑いました。
保存料の表示はどう読む?
原材料の欄で保存料を探すなら、「保存料(〇〇)」というカッコつきの書き方を見つけてください。
保存料は、何のために入れたか(用途名)と、何が入っているか(物質名)を両方書くことになっています。

たとえば「保存料(ソルビン酸K)」なら、ソルビン酸カリウムを保存料として使った、という意味です。「保存料(しらこ)」「保存料(ポリリジン)」も同じ書き方になります。
昔の「合成保存料」のような書き分けはないので、カッコの中を見れば、どの保存料かがわかります。
ややこしいのは、保存料に似た働きの添加物があることです。
似ているけど別もの「日持向上剤」
日持向上剤は、保存料より効き目が弱く、数日ほど傷みにくくするための添加物です。お惣菜やサラダなどによく使われます。
困ったことに、日持向上剤には「保存料」のような用途名がありません。物質名だけで書かれるので、ぱっと見では日持ちのための添加物だと気づきにくいんです。

もうひとつ覚えておきたいのは、保存料も日持向上剤も「殺菌」をするものではない、という点です。
菌が増えて傷みはじめるまでの時間を、少し引きのばすだけ。保存料が入っていても、期限が過ぎたものや、出しっぱなしにしたものは普通に傷みます。
ついでに言うと、塩や砂糖が「天然の保存料」と呼ばれることもありますが、これは添加物ではなく食材そのものの働きです。仕組みは砂糖と塩が保存料になる理由で詳しく書いています。
「保存料不使用」の表示で気をつけたいこと
「保存料不使用」と書いてあっても、添加物がまったく入っていないとは限りません。
消費者庁が2022年3月に出した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」では、誤解を招きやすい「無添加」「不使用」の書き方を10の型に分けて示しました。2024年3月末までに、各社が表示を見直す流れになっています。

保存料まわりで挙げられている例を、かみくだくとこんな感じです。
- 「合成保存料不使用」のように、基準にない「合成」「人工」「天然」などの言葉を使う
- 保存料は使っていないが、日持ちのために別の添加物を使っているのに「保存料不使用」とだけ書く
- 原材料の一部に保存料が使われているのに、できあがった商品に「保存料不使用」と書く
- 「保存料不使用なのでお早めに」と、開封後のことだと書かずに期限より早く食べるよう思わせる
2つ目の例は、さっきの日持向上剤の話そのままです。「保存料」の文字がないだけで、日持ちの工夫がされていることはあります。
ってことは、不使用の文字は見んでええの?ってなりますよね。
見てもいいんですけど、それだけで決めないのがコツです。表の大きな文字より、裏の原材料の欄。ここに全部書いてあります。
おせちの保存料は?匠本舗の表で確認
通販のおせちは、年末に届いてお正月に食べるものなので、保存料が気になる食べ物の代表です。
そこで、料理1品ずつの原材料を公開している匠本舗のおせちで、保存料の中身を数えてみました。

全55商品、料理にして2,908行の表のうち、保存料が入っていたのは151行。そのうち149行が「しらこ(しらこたん白)」でした。ソルビン酸とポリリジンは1行ずつです(2026年10月13日に集計)。
しらこたん白は、魚の白子からとれるたんぱく質が主成分の保存料です。湯葉や蛍烏賊、昆布和えのような小鉢によく使われていました。
冷蔵で届き、消費期限は2027年1月2日。お重は一段ごとにフィルムで包まれています。保存料に頼りきるのではなく、冷蔵と包装で日持ちをさせている作りです。
主力8品の添加物・産地・アレルゲンを1品ずつ見た結果は、匠本舗おせちの添加物と原材料は安全?主力8品の表で確認にまとめています。届いてからの日持ちはおせちは何日もつ?へどうぞ。
ここからは、主力の中から保存料の少ないおせちを3つ紹介します。
清新 保存料0品の京風三段重
京都東山の料亭「道楽」が監修したおせちです。全45品目・約3〜4人前。
原材料の表に保存料の入った料理は1品もありません。主原料が国産だけの料理も6割あり、主力8品で一番高い割合でした。
京都東山 料亭「道楽」監修おせち 平安祝重 清新【207】(約3〜4人前・全45品目・冷蔵)
- 10月31日まで 14,900円
- 12月10日まで 15,200円
- 12月11日から 20,000円(通常価格)
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:保存料の入らないおせちを3〜4人で食べたい家
- 気をつけたい点:ロブスターのような派手な料理はなく、京風の薄味。11月から値段が上がる
清祥 保存料0品で一番手頃
京都東山の料亭「はり清」が監修したおせちです。全43品目・約3〜4人前。
こちらも保存料の入った料理は0品。主力8品の中では、いちばん値段が手頃です。
京都東山 料亭「はり清」監修おせち 清祥【461】(約3〜4人前・全43品目・冷蔵)
- 届く日の指定なし 10,800円
- 通常価格 18,800円
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:保存料の入らないおせちを、1万円ちょっとで3〜4人分そろえたい家
- 気をつけたい点:乳の料理が4品ある。添加物なしの料理は6品と少なめ
匠 口コミ4,848件の定番、保存料は2品
京都祇園の料亭「岩元」が監修した、匠本舗の看板のおせちです。全50品目・約3〜4人前。
保存料が入るのは、かれいの昆布和えと海老塩麹漬けの2品で、どちらも「しらこ」です。口コミの多さで選ぶなら、まずここが候補になります。
京都祇園 料亭「岩元」監修おせち 匠【060】(約3〜4人前・全50品目・冷蔵)
- 10月31日まで 14,900円
- 12月10日まで 15,200円
- 12月11日から 20,000円(通常価格)
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:口コミの多さで選びたい、3〜4人の家
- 気をつけたい点:保存料ゼロではない(2品)。添加物なしの料理は6品(12%)と少なめ
よくある質問
Q. 合成保存料とは何ですか?
化学的に合成して作った保存料を指す、昔の呼び方です。2020年7月に表示の基準から「合成」の言葉が消え、2022年4月からは「保存料」としか書けなくなりました。今の表示では、合成かどうかで書き分けることはありません。
Q. 天然の保存料にはどんなものがありますか?
しらこたん白とポリリジンが代表です。どちらも既存添加物で、天然系の保存料は5品目(2016年10月時点)とされています。表示は「保存料(しらこ)」「保存料(ポリリジン)」のように書かれます。
Q. ソルビン酸は危険ですか?
決められた使い方の範囲なら、健康を損なうおそれはないとして使用が認められています。ソルビン酸は指定添加物で、使ってよい食品と量の上限が決まっています。気になる人は、原材料の欄で「保存料(ソルビン酸K)」などの表示を見て選べます。
Q. 保存料不使用だと賞味期限は短くなりますか?
短くなるとは限りません。冷蔵・冷凍、包装、塩分や糖分、日持向上剤など、日持ちさせる方法はほかにもあるからです。期限は袋に書かれた賞味期限・消費期限を見てください。
Q. しらこたん白とは何ですか?
魚の精巣(白子)からとれる、たんぱく質を主成分とする保存料です。既存添加物名簿に「しらこたん白抽出物」として載っています。おせちや練り物、和え物などで見かけることが多い保存料です。
まとめ
保存料と合成保存料の違いは、今の表示ではありません。
「合成」の言葉は2020年7月に基準から消え、2022年4月からは使えなくなりました。合成も天然も同じ物差しで評価されていて、「天然なら安心、合成なら身体に悪い」とは言えない、というのが国の考え方です。
気になるときは、表の「不使用」の文字より、裏の原材料の欄を見てください。「保存料(〇〇)」のカッコの中に、何が入っているかが書いてあります。
おせちで保存料をできるだけ避けたいなら、保存料0品の清新か清祥。口コミの多さで選ぶなら、保存料2品の匠、という選び方になります。
ほな、また!
参考:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日・秋田県掲載)
参考:広島県 食品工業技術センター「保存料」「日持ち向上剤」について
参考:厚生労働省「食品添加物」
参考:日本食品化学研究振興財団「既存添加物名簿収載品目リスト」
参考:消費者委員会 食品表示部会 資料(2020年5月25日)



