数の子の漂白は体に悪い?過酸化水素と無漂白の違い【2027年】
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まいど、食品バイヤーのしゅんです。
「数の子って、漂白してあるらしいで」
年末にこれを聞いて、手に取った数の子をそっと棚に戻した人もいるんちゃうでしょうか。黄色くてきれいなほど、かえって不安になりますよね。
何で漂白しているのか。それは体に悪くないのか。無漂白の数の子と何が違うのか。
この記事では、国の審議会の資料をもとに数の子の漂白の仕組みをほどいて、匠本舗のおせち55商品の原材料表で、おせちの数の子に何が入っているかも数えました。
海産物の仕入れで、数の子の色の違いを毎年見ている立場から、選び方までお話しします。
目次
数の子はなぜ漂白する?
数の子の漂白に使われるのは、過酸化水素という食品添加物です。用途は「漂白剤」と「殺菌料」。消毒薬のオキシドールと同じ成分、と言うとイメージしやすいかもしれません。
漂白する一番の理由は、色をそろえることです。
数の子の色は、もともと1本1本微妙に違います。濃い黄色のもの、うっすら茶色がかったもの、色の濃いところが混じるもの。そのまま並べると、どうしても色がばらばらになります。
過酸化水素で漂白すると、これが均一な黄色に仕上がる。お正月の「黄色いダイヤ」の見た目は、こうして作られているものが多いんです。
最初、ぼくもこの仕事を始めたころは「漂白=傷んだのをごまかしてるんちゃうか」と思っていました。
でも実際は、色の濃淡は数の子が持っている個性みたいなもので、品質の良し悪しとは別の話。漂白は、あくまで見た目をそろえるための工程なんです。
漂白に使う過酸化水素は体に悪い?
まずは歴史から。過酸化水素は、1980年に使い方のルールが大きく変わった添加物です。

過酸化水素が食品添加物に指定されたのは1948年。1969年には、食品に残っていい量の上限が決められていました。
ところがその後、弱い動物発がん性が認められたという報告が出ます。これを受けて、分解しやすい性質も考えたうえで、1980年2月に「最終食品の完成前に分解し、又は除去しなければならない」というルールに改められました。
つまり今は、できあがった食品に過酸化水素が残っていてはいけない、という決まりです。しかも、製造や工程の管理まで含めて、残っていないことが確実でなければならないとされています。
ここまで厳しくなった結果、2010年の国の資料では、過酸化水素は「かずのこを除き事実上使用されていない」と書かれています。数の子では、カタラーゼという酵素や亜硫酸塩で過酸化水素を分解する方法についてだけ、使用が認められていました。
2016年には、釜揚げしらすとしらす干しにも、残っていい量をごくわずかに決めたうえでの使用基準が加わっています。
体に悪いかどうかで言えば、「漂白したあとに分解して、食べるときには残さない」ことが前提の使い方です。決まりどおりに作られた数の子なら、過酸化水素そのものを食べることにはなりません。
それでも「そういう工程を通ったものは避けたい」という気持ちは、それはそれで自然です。そういう人のために、漂白しない数の子もちゃんと売られています。
原材料の欄に「漂白剤」と書かれない理由

ややこしいのが、漂白した数の子を買っても、原材料の欄に「漂白剤(過酸化水素)」とはまず書かれていないことです。
完成前に分解・除去される添加物は「加工助剤」といって、表示しなくていいことになっています。過酸化水素はまさにこれ。
だから、原材料の欄を見ても、漂白したかどうかは分からないんです。分かるのは、「無漂白」「生成(きなり)」のように、漂白していないことをわざわざ書いている商品だけ。表示がなければ、お店に聞くしかありません。
無漂白の数の子は何が違う?

無漂白の数の子は、色の濃淡がそのまま残っています。1本ずつ色が違ったり、色の濃いものが混じったりするのがふつうです。
生協は無漂白の数の子に力を入れていて、日本生協連は「漂白すると歯ごたえがなくなり、風味やうま味も失われる」と説明しています。試食会では「味が全然違う」という声もあったそうです。
関西だと、コープこうべの関連会社が、漂白しない「生成」製法の数の子を半世紀も作り続けています。2025年の年末には、約130万本(約22トン)を出荷する予定と報じられていました。
ただ、ここは公平に言っておくと、漂白した数の子にも良さはあります。
色がそろっていて、お重に並べたときの見た目がきれい。スーパーでも通販でも手に入りやすい。歯ごたえや風味の違いをどこまで感じるかは、人によってかなり差があると思います。
ここで、うちの年末の話をひとつ。
ある年、母が「今年は無漂白にしたで」と言って、塩数の子を買ってきたんです。ところが張り切って真水で塩抜きしすぎて、ちょっと苦くなってしまった。
父は「漂白してへんから苦いんか」と言い出すし、ちゃうちゃう、それは塩の抜きすぎやって。塩数の子は、薄い塩水で少しずつ塩を抜くのがコツです。漂白の有無より、こっちのほうが味を左右したりします。
おせちの数の子には何が入っている?
では、通販のおせちに入っている数の子はどうなのか。匠本舗のおせち55商品の原材料表から、数の子の行を全部拾いました。

数の子が入っていたのは54商品、59行。保存料の入った数の子は0行で、「漂白剤」の表示も0行でした。
ただし、さっきの話のとおり、漂白剤の表示がないことは「漂白していない」という意味ではありません。表から漂白の有無は分からない、というのが正直なところです。
添加物の中身を見ると、「調味料(アミノ酸等)」だけという数の子が16行。醤油漬けタイプは、これにpH調整剤や酒精、酵素が加わる形が多めでした。
着色料が入っていたのは5行で、どれも「数の子雲丹和え」。うにの色合いのぶんと考えるのが自然です。産地は、ほとんどがアメリカかカナダでした。
おせち全体の添加物を料理ごとに見た結果は、おせちの添加物・保存料は体に悪い?にまとめています。
数の子の漂白が気になる人の選び方

どうしても漂白が気になるなら、「無漂白」「生成」と書かれた数の子を単品で選ぶのが確実です。表示のない商品は、お店に問い合わせて確かめるしかありません。
おせちで選ぶなら、漂白の有無は分からないぶん、数の子の行の添加物が少ないものを選ぶのが現実的。匠本舗なら、料理ごとの原材料表で確かめられます。
届いたおせちの置き場所に困りそうなら、おせちが冷蔵庫に入らない時は?も先に読んでおくと安心です。
数の子の添加物が少ない匠本舗おせち3選
匠本舗の主力おせちから、数の子の添加物が「調味料(アミノ酸等)」だけのものを3つ選びました。
並びは、主力8品の中で添加物なしの料理が多い順です。漂白の有無は原材料表に書かれていないので、ここでは分からない点だけ先にお伝えしておきます。
1位 清新 数乃子3本、添加物は調味料だけ
向いてる人:数の子の添加物は少なめがいい、京風の三段重を3〜4人で食べたい家
京都東山の料亭「道楽」が監修したおせちです。全45品目・約3〜4人前。
数の子は「数乃子」として3本。添加物は調味料(アミノ酸等)だけで、産地はアメリカかカナダです。
おせち全体でも保存料の入った料理が0品、主原料が国産だけの料理が多いのが特徴です。
京都東山 料亭「道楽」監修おせち 平安祝重 清新【207】(約3〜4人前・全45品目・冷蔵)
- 10月31日まで 14,900円
- 12月10日まで 15,200円
- 12月11日から 20,000円(通常価格)
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:数の子の添加物は少なめがいい、京風の三段重を3〜4人で食べたい家
- 気をつけたい点:数の子の漂白の有無は書かれていない。11月から値段が上がる
2位 雲海 ロブスター入り、数の子は調味料だけ
向いてる人:数の子の添加物は少なめで、ロブスター入りの華やかな三段重にしたい3〜4人の家
有馬温泉の料理人・大田忠道さんが監修した三段重です。全43品目・約3〜4人前。
数の子は「味付数の子」3切。添加物は調味料(アミノ酸等)だけでした。
ロブスターの入る華やかなお重で、おせち全体でも保存料の入った料理は0品です。
奥の細道「大田忠道」監修おせち 太閤の御膳 雲海【496】(約3〜4人前・全43品目・冷蔵)
- 届く日の指定なし 15,800円
- 通常価格 20,800円
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:数の子の添加物は少なめで、ロブスター入りの華やかな三段重にしたい3〜4人の家
- 気をつけたい点:数の子の漂白の有無は書かれていない。えびのアレルギーがある家には向かない
3位 清祥 数の子は調味料だけ、一番手頃
向いてる人:数の子の添加物は少なめで、予算は1万円ちょっとに抑えたい3〜4人の家
京都東山の料亭「はり清」が監修したおせちです。全43品目・約3〜4人前。
数の子は「味付数の子」3切で、添加物は調味料(アミノ酸等)だけ。
主力8品の中ではいちばん値段が手頃で、保存料の入った料理も0品です。
京都東山 料亭「はり清」監修おせち 清祥【461】(約3〜4人前・全43品目・冷蔵)
- 届く日の指定なし 10,800円
- 通常価格 18,800円
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。税込・8,000円以上で送料無料。届くのは12月29〜31日のどれか(選べない)
- 向いてる人:数の子の添加物は少なめで、予算は1万円ちょっとに抑えたい3〜4人の家
- 気をつけたい点:数の子の漂白の有無は書かれていない。乳の入る料理が4品ある
数の子だけ多めにほしいなら
おせちの数の子は3切や3本なので、「数の子だけはたっぷり食べたい」という家には足りないかもしれません。
匠本舗には、北海道で加工した味付けの数の子もあります。原材料は数の子と鰹節エキス、添加物は調味料(アミノ酸等)。こちらも漂白の有無は書かれていません。
北海の恵み かつおだし黄金数の子 約400g【347】
- 5,380円(税込)
- 270g(固形量200g)×2袋・冷凍で180日
- 口コミ評価4.1(103件)
匠本舗の商品ページ(2026年10月20日確認)。送料無料の表記がない商品は冷凍冷蔵の送料1,200円、合計8,000円以上で送料無料
- 向いてる人:おせちとは別に、味付けの数の子をたっぷり用意したい家
- 気をつけたい点:漂白の有無は書かれていない。単品だと8,000円に届かず送料がかかる
よくある質問
Q. 数の子の漂白剤は何を使っている?
過酸化水素です。用途は漂白剤と殺菌料で、1980年からは「完成前に分解・除去しなければならない」という決まりになっています。数の子では、カタラーゼという酵素や亜硫酸塩で分解する方法が認められています。
Q. 漂白した数の子は体に悪い?
決まりどおりに作られていれば、食べるときに過酸化水素は残っていない前提です。完成前に分解・除去し、残っていないことが確実でなければならないとされています。気になる人は、無漂白の数の子を選ぶ方法もあります。
Q. 無漂白の数の子は何が違う?
色をそろえる工程がないので、1本ずつ色に濃淡があります。生協は、漂白しないほうが歯ごたえや風味が残ると説明しています。色の濃いものが混じっても、品質が悪いわけではありません。
Q. 漂白しているかどうか、見分け方は?
原材料の欄では分かりません。過酸化水素は完成前に分解・除去される加工助剤なので、表示しなくていいからです。「無漂白」「生成」と書かれた商品を選ぶか、お店に聞くのが確実です。
まとめ
数の子の漂白に使われるのは過酸化水素。色をそろえて、見た目をきれいにするための工程です。
1980年からは完成前に分解・除去して、食べるときには残さない決まりになっていて、決まりどおりなら過酸化水素そのものを口にすることにはなりません。
ただ、漂白したかどうかは原材料の欄には出てきません。気になるなら「無漂白」「生成」の表示を探すか、お店に聞くのが確実です。
おせちで選ぶなら、数の子の添加物が調味料だけの清新・雲海・清祥あたりが、表の中身がすっきりしています。
ほな、また!
参考:薬事・食品衛生審議会 資料「過酸化水素処理による釜揚げシラスについて」(2010年・WAM掲載)
参考:日本食品化学研究振興財団「使用基準のある食品添加物一覧」
参考:ならコープ「無漂白 数の子本来のうまみと歯ごたえが生きる」
参考:神戸新聞「人気の数の子 歯応えや香り損なわない「生成」製法」(2025年11月14日)




